冬至の日に寄せて
一昨日は、
一年のうち昼の時間が一番短い
冬至の日でした。
「陰極まりて陽となす」
これから夏至へ向けて
また日一日と 日が長くなっていきます。
年末はなにかと気忙しいのですが
それでも
この日だからこそ特別に作りたくて
育てたライ麦のわらを取り出してきました。
そう、作りたかったのは
このヒンメリです。
ヒンメリは
北欧フィンランドの装飾品です。
今でこそ、クリスマスの飾りになっていますが、その起源はキリスト教が普及される前に遡ります。
日本ではまだ平安時代の12世紀ごろ
ユールという冬至のお祭りがあって
太陽信仰や豊作祈願の飾りとして作られた飾りが、このヒンメリでした。
それが、キリスト教の布教により
たまたま近い日だったユールが
クリスマスのお祭りに
統合されてしまったようなのです。
私は北欧には行ったことがないのですが
冬のアラスカを訪れたことがあります。
昼前になってようやく日が昇ってきても
日の光は夕陽のよう。
あっという間に日が暮れてしまって夜が長い。
しかも、外を歩いているだけで命の危険と隣り合わせの、マイナス40度の世界。
ここでは必然的に、人と人との繋がりが深くなるなあと肌で感じました。
だから、フィンランドの人たちが
心から光をありがたいと感じて、
太陽を神と崇める気持ちや
作物が育つ命の尊さや感謝の気持ちで
冬至の日を祝う気持ちがよくわかります。
フィンランドの人たちにとって
ヒンメリは
新たな年の始まりに
前の年の収穫と一年の無事を神様に感謝して
来る年の豊穣と家内安全を願って作った
神聖な飾りなんですね。
ヒンメリは影が本当に美しいです。
フィンランドでは麦わらに精霊が宿り
その場をきれいにしてくれる、
幸せを呼び込んでくれるものと
信じられてきたそうです。
ヨールが終わると
ヒンメリは燃やして灰にして麦畑に還して
いのちを循環させたり
家族が集まる食卓の上に吊るして
天への光を感じたり、
結婚式の装飾に用いて聖なる未来を誓ったり
豊穣祈願で農作業小屋にずっと飾ったり。
「天」を語源に持つヒンメリは
幸福を呼び込む依り代だったり、
また、聖域や結界を表す役目も担っています。
そして
この感じが
日本のしめ縄やしめ飾りに
とても似ているなあとも思うのです。
しめ飾りも作ってみました。
日本では古来から
稲には稲霊(いなだま)と呼ばれる精霊が宿るという稲作信仰がありました。
そのため
昔の農家では米を収穫したあとに残った稲藁を使ってしめ縄をつくり、翌年の豊作を祈る習慣がありました。
年神様を迎えるために
玄関にしめ飾りを飾る風習は今でもありますね。
日本とフィンランドに通じるのは
互いに自然に神の存在を信じ、
自然への感謝や畏敬の念を抱きつつ
稲わらや麦わらに
その想いを込めるところ。
お国は違えど
自然観が似通っていて
根っこの部分は同じだなあと
親近感をおぼえながら
ヒンメリがゆっくりと動くのを眺めています。
さて
今年ももうすぐ
締めくくりの時を迎えます。
世界はあっという間に一変してしまうことに驚きつつ、自分は何をすべきなのか
考えさせられる日々でした。
明日はどうなるか誰にもわからない
この時世ですが
自分の生き方、暮らし方を
大切にしたいですね。
少し早いですが
今年一年、野あそび工房を応援くださり
どうもありがとうございました。
みなさま
どうぞ 心穏やかな
よい新年をお迎えください。
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